イ・キジョさんのミニマムな白磁
イ・キジョさんの白磁は、伝統的な様式美を極限まで研ぎ澄ませ、リンとしたなかにもふくよかさを感じさせる現代的な佇まいの器です。滑らかで、透明感と高貴さをかもしだす青みを帯びた白磁は、キジョさん特有のもので、世界中で高く評価されています。また近年、文大統領からの依頼で大統領府の晩餐会用の食器を手掛けられました。名目ともに、現代の韓国陶芸を代表する作家です。
ラボラトリオでは、縁あって過去二回にわたって展覧会を開催しました。
民藝ゆかりの地・松本での展覧会をとても喜ばれ、二度とも来松されています。
井藤もソウル近郊にあるアトリエにお邪魔し、一緒にキムチ漬けの仕込みを手伝わせていただいたり、公私にわたって交流を重ねています。
作品は、高度なロクロと鋳込みによってシンプルながら難易度の高い造形をみせています。
たとえば、平皿は平坦に形作ることが非常に難しい器ですが、キジョさんの皿はどこまでもフラット。すべて手作りですが、作品一つひとつは無名性をまとったミニマムな形象を持ち、作為や主張がほとんど感じられないなか、静かに眺め、手にとってじっくりと慈しむうちに、繊細な造形の細部に作り手の意識が脈動していることに気づかされます。
器自体はとても丈夫で、長年の使用に耐えるものです。シンプルな造形は日々の食卓でとても出番が多く、また和洋を問わずどんな料理にも合います。器遍歴を重ねてきた人ほど、最後はこのような器に辿り着く。まさにそのようなものかもしれません。
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Lee Gee Jo / 李起助 / イ・キジョ 1959~
ソウル国立大学修士課程
チュンナン大学芸術学部教授
韓国現代白磁の重鎮
ソウルから1時間程南の安城にアトリエ兼自宅を構え、
制作活動に励む
2012 ARTS&SCIENCEにて、日本初となる展覧会を開催
他、韓国・ニューヨーク・パリなどにて作品展多数