Vol.10「いい眠りのために」
Text : 田中のり子
「春眠暁を覚えず」な言葉通り、毎年春になると、眠くて眠くて仕方がない状態になる私。春は、陰から陽に転ずる季節です。からだは冬の休息モードから一転して活動モードに入りますが、東洋医学で言うところの「気血両虚」(気も血も足りてない虚弱体質)の人は、全身各所でエネルギー需要が高まる春に、気血の不足によって「眠い~!」「だるい~!」という状態に陥ることが多いのだそうです。
しかし今年は、季節の訪れが早いせいか、はたまた毎日のごはんで気血の補充を意識的にしたせいか、「モーレツな眠さ」に襲われることは、あまりありませんでした。その反対に、今度は4月中旬から、布団に入ったのに頭が冴え冴えとして「なかなか眠れない……」という日々が続きました。
普段は寝つきがいいほうなのですが、ときどきこういうことが起こります。理由は、脳の興奮でしょう。取材で興味深い話が連発したとき、仕事の打ち合わせや友人とのおしゃべりで話が盛り上がりすぎたとき。言葉や場面の記憶がぐるぐると頭の中を駆け巡り、活動モードの交感神経ばかりが優位になって、リラックスモードの副交感神経にスイッチできないのです。
ベストセラーになりました『スタンフォード式 最高の睡眠』(西野精治著/サンマーク出版)によりますと、睡眠の役割は
・脳と体に休息を与える
・記憶を整理して定着させる
・ホルモンバランスを調整する
・免疫力を上げて、病気を遠ざける
・脳の老廃物を取る
などがあるそうです。
眠りにはノンレム睡眠(脳も体も眠っている睡眠)と、レム睡眠(脳は起きていて、体が眠っている状態)の2種類があり、人はそれを交互にくり返しながら眠っているそうですが、中でもちょっと気になった記述は「ノンレム睡眠中に、イヤな記憶を消去してくれる」というもの。「脳の老廃物を取ってくれる」というのも聞き逃せませんし、コロナ禍が続く昨今は、もちろん免疫力が大事。質のいい眠りは、からだと心の健康にも必須なのであります。そして本書の中では、「入眠直後、最初の90分のノンレム睡眠を、いかに深くするか」が、いかに大事かが力説されております。
質のいい寝具や、室内の温度設定、入浴の時間帯などなど、「眠る秘訣」はいろいろありますが、私が個人的に「効くなあ」と思っているのがこちら。
まずは私が暮らしでよく活用している、フラワーエッセンス。バッチフラワーの「ホワイトチェストナット」です。こちらは「頭の中で思いや思考が堂々巡りし、休まらない、眠れない」ときにおすすめとされているエッセンス。昨年のステイホーム期間中によく取りました。不思議なことに、これを取ると「あれも気になる、これも気になる」と、散漫で落ち着きのない心模様がすーっと収まっていくのです。
そして「コスメキッチン エリボステリア」の「パッションフラワー」。植物研究家の森田敦子先生が監修しているブランドのタンチュメール(ハーブチンキ)で、日本では「時計草」という名で親しまれているハーブで、夜のリラックスタイムをサポートしてくれます。私はこれを飲むととたんに「ポワン」となって、それまでキリキリに張りつめていた頭が強制的にゆるみます。「車を運転する前には、絶対に飲まないで!」と言われているのにもうなずける、リラックスモードへの案内人であります。
そしてお友達から教えてもらった、リトアニアのオイルブランド「YOU & OIL(ユーアンドオイル)」の「HEAD」。こちらは部位別のマッサージオイルを提案しているブランドで、「HEAD」はパソコン仕事やスマホの合間のリフレッシュにおすすめされているもの。ラベンダーやプチグレイン、ローマンカモミール、イランイランのオイルが配合されています。眠りの前に、頭頂や額などをくるくるとマッサージ。心がふっと落ち着く香りです。
ベッドの中で頭が冴えてしまったときは、いったん起き上がり、こちらの3つをとってから、再び横になるように。このフォーメーションで、今のところ眠れなかったことは、ありません。効く、効かないはきっと、いろいろと個人差があると思いますが、ご興味のある方は、ぜひ試してみてくださいね。
(プロフィール)
衣食住、暮らしまわりの書籍の編集、雑誌のライターとして活動する。からだとこころに関する取材も多く、フラワーエッセンスや漢方について勉強中。『からだとこころを整える』(エクスナレッジ)がある。編集を担当した『1週間で必ず体がラクになる お手軽気血ごはん』(文化出版局)が好評発売中。