Vol.7「朝がゆのすすめ」

Text : 田中のり子

みなさん朝ごはんは何を食べていますか? 私はあまり胃が強くないため、朝ごはんをたくさん食べると、何だかもや~んとお腹がもたれるような気がして、ここ数年はグラノーラや果物、小さなパンに紅茶などで、ササッと簡単に済ませてしまうことが多かったのです。家で仕事をする日などは、朝ごはん抜きということも。ところが漢方を勉強するうちに、朝ごはんに関する考え方が変わり、最近は「朝がゆ」を食べることが多くなりました。朝食におかゆと言えば、香港や韓国などでも有名ですよね。


東洋医学では一日24時間を2時間ごとに区切り、それぞれに対応する内臓が割り当てられています。たとえば夜中の午前1時から3時は「肝」、午後3時から17時は「膀胱」という具合に。その時間に対応する内臓を養生すると、より元気でいられると考えられているのだとか。朝ごはんを食べる時間帯である朝79時は、「胃」の時間。なので、ここで胃を労わるものを食べるようにすると、より胃が元気になるという仕組みです。


そこで「おかゆ」です。おかゆと言えば「風邪をひいたときに食べるもの」というイメージが強いですが、養生関係の本を読むと、とにかく大絶賛。消化がいいものはもちろん、お米そのものも「胃を養う」役割がある、滋養にあふれた食材であるのです。いわゆる「うるち米」は漢方では「粳米(こうべい)」と呼ばれ、効能の強い薬を飲む際に、胃腸を守るために一緒に処方されることもあるのだとか。

2~3日食べ続けると、すぐにその効果を実感するようになりました。というのも不思議なのですが、朝食におかゆを食べたほうが、何も食べないときよりも、余分に食べているはずなのに昼食前のおなかの減り具合がいい。胃袋がぐーぐー鳴って、「昼ごはんが食べたいよー!」と動いている感じ。これぞ、胃が活発に動いている証拠なのです。


「朝からおかゆを作るなんて」と思いますが、スープジャーを使えばとても簡単。私は「サーモス」の真空断熱スープジャーを活用しているのですが、寝る前にジャーの中を熱湯で温めてそれを捨て、洗った白米大さじ2を入れて、新たな熱湯を注いでふたをするだけ。翌朝にはスープジャーの中で、トロトロのおかゆができ上がっております。スープジャーの保温効力は6時間程度なので、睡眠時間が78時間という長い私の場合、やや冷めてしまっているのですが、小鍋で軽く温めなおせば問題なし。朝からホワンと湯気が立ち上るおかゆを食べると、お腹も心も何だかやわらか~くなれます。



私はときどき雑穀やクコの実、金糸菜を加えてみたり、梅干しをトッピングしたりして食べています。特におすすめは、味噌とかつおぶし。というのも、胃を元気にさせるものの筆頭が「温かいもの」と「発酵食品」と言われています。味噌はご存知の通り発酵調味料の代表選手ですし、かつおぶしも実は発酵食品って知っていましたか? どちらもたんぱく質が豊富で血液の材料にもなるから、貧血気味の人にも最強です。最近かつおぶしとお味噌にお湯を注いで作るインスタント味噌汁「かちゅー湯」を飲む人が増えていますが、そのお粥版という感じです。



うっかりお粥を仕込み忘れた日は、「ナチュラルハウス」のレトルトパックを活用することも。私は非常食としていくつかストックしているので、古くなったものを少しずつ入れ替えていく役割もあるので、無理がありません。玄米タイプなどもあり、おすすめです。


寒くなると胃腸の働きがにぶくなるので、「朝に食欲がない」という人も多いのではないでしょうか。そんな方にもぜひ、お手軽おかゆ生活おすすめですよ~。

(プロフィール)
衣食住、暮らしまわりの書籍の編集、雑誌のライターとして活動する。からだとこころに関する取材も多く、フラワーエッセンスや漢方について勉強中。著書に『暮らしが変わる仕事』(誠文堂新光社)、『からだとこころを整える』(エクスナレッジ)がある。


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