第1回 ギャラリーfève・ダンディゾンオーナー
引田かおりさん




(写真左からOVAL BOX #1、#5、#6)

「ふたものや箱が好きです。姿も可愛いし、ふたを開ける動作も好き。そして開いたときの楽しさ。自分が入れていたとしても、しばらく経つと『こんなの入れていたんだ』と、新鮮な驚きがあったりします」 
 ギャラリーでも「箱展」を開催するなど、「箱好き」として知られる引田かおりさん。それぞれのオーバルボックスは、どれも10年選手です。
「ケーキやお菓子の箱を開けたとき、美しく収まっていると、喜びも倍増しますよね。だから自分でも、箱の中はできるだけきれいに、整った状態に収めたいと思っています。オーバルって、長方形や正方形とくらべると実は使いにくいけれど、曲げわっぱみたいに、存在自体が可愛いから仕方ない(笑)。そのぶん、『じゃあ、どうやって入れようかな』と、頭を働かせるのも楽しいです」 
 何だか気持ちがザワザワして落ち着かないとき、箱の中を整理すると、不思議と気持ちがおだやかに整ったりします。そしてスムーズに進んでいなかったものごとが、すーっと前に進んだりすることも。玄関を掃除したり、水まわりをきれいにしたり。箱の中を整えることは、それらと同じような、運気を変えるきっかけにもなるそうです。



( OVAL BOX #6 )

一見取り留めのない品揃えですが、かおりさんの「心と体を守るもの」が入った大切な箱。「ホメオパシージャパン」のリフレッシュスプレー「ブレッシング」や「プロテクション&クリアリング」、アロマオイル。「アーツ&サイエンス」のがま口の中には、水晶や高校の校章、曾祖母さまから譲り受けた指輪などを入れて。三谷龍二さんの丸型のバターケースには、「トラネコボンボン」のブローチなどを。



(OVAL BOX #5 )

「お裁縫にはすごく苦手意識があって、だからこそ可愛いものを揃えて、ボタン付け程度ならスイスイ取りかかれるようにしています」。白樺のカゴに入った刺しゅう入りピンクッションは、北欧雑貨を輸入する会社を営みつつ、自身も手芸作家として活躍する石毛麻理子さんの作品。チェックのピンクッションとまち鍼を収めた白い陶器は、イイホシユミコさんに作ってもらったもの。



(OVAL BOX #1 )

ニットブランド「eleven 2nd」デザイナーの橋本靖代さんが、毎年12月になると季節のご挨拶として送ってくれるソックスのオーナメント。いちばん小さなボックスに大切に収めているそう。


(プロフィール)
東京・吉祥寺にある「ギャラリーfève」とパン屋「ダンディゾン」を、夫の引田ターセンとともに営む。著書に『しあわせのつくり方』(KADOKAWA)など。座右の銘は「餅は餅屋」。人の得意分野を見出して、磨きをかけるのが何よりも大きな喜び。

文・田中のり子
写真・大森忠明


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