第21回 
アパレル勤務 安武俊宏さん・恵理子さん


安武俊宏さん・恵理子さん夫妻が暮らす家は、約5年前にリノベーションしたという都内のビンテージマンションの一室。むきだしのコンクリート壁は落ち着いたグレーにペイントされ、リビングと寝室の間を仕切るガラス戸の枠や照明は黒のアイアン。モノトーンを基調としたシックな空間で、ひときわ目を引いたのは、5段に重ねられたオーバルボックスでした。

 「もともとわが家にある家具や雑貨も黒が多く、オーバルボックスも黒が好きで、『アーツ&サイエンス』などで展示が行われるたびに、1個ずつ買い足していきました。いちばん最初に買ったのは、6サイズだったかな? いちばん大きな10サイズは予約をしていて、最近手に入れたものです」と俊宏さん。

 
「上から順番に、使用頻度の高いものを入れています。いちばん上は文具類が入っているペンケース。次は4サイズで、置いている場所はコンセントが近いので、携帯電話などの充電器類を。6サイズは子どものマスクや体温計、爪切り、虫よけシールなど。下のふたつは普段出し入れしないものを収納しています。8サイズは旅先で足を運んだ美術館やホテルのグッズやパンフレット、カード類など思い出の品。いちばん大きな10サイズは、娘の季節外の服を収めています」と恵理子さん。

木製のオーバルボックス、プラスチック製の衣裳ケースなどとくらべ、通気性がいいので虫がつきにくく、衣類の収納にも向いているそう。仕事柄、たくさんの服を見続けてきた恵理子さん。やはり娘さんの服に関しても、消耗品ではなく、「もの」として美しいもの、魅力があるものを選ぶよう心掛けてきたようです。

子どもの成長は早いので、来年にはもう、着ることができないかもしれない。けれども眺めているだけで心が温まる愛らしい服は、この箱に収まる限りは大切に取っておこうと考えているそうです。
 

(OVAL CARRIER #5)


遊びたいさかりの娘の朱夏(しゅか)ちゃんは、現在3歳。成長するにつれ、必要なものも増えてきました。髪を縛るゴムや手を拭くガーゼ、虫よけスプレー……。暮らしているとどうしても増えてくる雑多なものを、オーバルボックスは懐深く受け入れてくれるといいます。さっと取り出せるキャリーボックスには、手夏ちゃんの身だしなみまわりのものが収められていました。

インテリアについて、並々ならぬこだわりのある二人。一緒に暮らしながら、不思議と好みは一致してきたそうです。

「基本的にはシンプルなデザイン。そして時代の流れの中で、すたれていかないもの。『すたれる』には、素材についても含まれていて、木を始めとした自然素材、それにガラス、鉄などは、時間を重ねることで風合いや存在感が増します。武骨な雰囲気よりも、どちらかというと華奢で、ほのかに色気がある佇まいのものに惹かれるようです」と俊宏さん。

三度黒のオーバルボックスも、黒がベースですが素材が木材で、やわらかな曲線が入ることで冷たくなりすぎないところが気に入っている理由だそうです。コロナ禍により家で過ごす時間が増え、改めてインテリアについて考えることが多くなったと話す恵理子さん。家が居心地よくあること、そして整頓ができる仕組みを作ることが、本当に大事だと痛感したそうです。

「私はものを整えたりするのは苦ではないんですが、分類や整理が不得意なので(笑)、『入れる場所』が決まって、それが家族全員で共有でき、バサッと大らかに収められるものが、本当にありがたい。オーバルボックスはそんなわが家の収納の、心強い味方だと思います」。

OVAL BOX #10 三度黒)

左上3つのニット帽、隣のカーディガン、スカート、レギンスなどニット製品はすべて、アメリカの子ども服ブランド「ミーシャ&パフ」のもの。ペルーの女性たちが手掛けるハンドニットで、自ら個人輸入した。ファー付きコートは英国の子ども服「CARAMEL」、青のキルティングコートは「BONTON」。

 OVAL BOX #8 三度黒)

(プロフィール)

俊宏さん、恵理子さん共に2005年「ビームス」入社。俊宏さんはショップスタッフを経て2012年よりプレスに。恵理子さんはショップスタッフを経てバイヤー・ディレクターに。出産・育児のため現在はMD兼バイヤーのアシスタントに。俊宏さんの好きな言葉は「二度寝」、恵理子さんの好きな言葉は「おかわりっ」(娘さんが小食のため)。

 

文・田中のり子
写真・大森忠明

 

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