第3回 「マチュアーハ」デザイナー
髙田雅之さん・ユキさん
帽子を当たり前にかぶる生活を知ってほしい、楽しんでほしいという想いから生まれたブランド「マチュアーハ」。そのデザインを手掛けている髙田雅之さん・ユキさん夫妻は、3つのオーバルボックスを「インスピレーションの素を入れる箱」として活用しています。「いざ『こういうものを作りたいな』と思ったとき、ゼロから素材を探すのは大変。なので、色や素材感、ディテールなどの発想の素となる材料は、常日頃から手元に置くようにしています」とユキさん。
イメージの原型となるものなので、どうしても形や色が雑多なものが多くなりますが、オーバルボックスにざっくりと入れておくだけで、ひとつの雰囲気にまとめてくれるのがありがたいそう。アンティークの道具パーツなど古いものも多く、それらとも自然になじむところも気に入っているポイントだとか。
「楕円というのがいいですよね。棚や机などの上に置くとき、四角はすき間なく並べられるけれど、円だと必ずまわりに余白が生まれる。海外に行くと、『日本人は間(ま)や余白を大切にするところが素晴らしい』と、よく指摘していただくのですが、オーバルボックスはそういうゆとりが自然に生まれる、とても日本人になじみやすい道具なのではないかと感じます」と雅之さん。
(OVAL BOX / OVAL CARRIER #6 三度黒 )
アンティークのリボンやレース、ボタンなどと一緒に、革の見本、オーバルボックスの針山なども。木の枝は「小物を作るときなどに、何かに使えるかも?と、取ってあります」。右下の茶色いテープは、帽子の材料となるペーパーブレード。
「この黒は、ログウッドというメキシコ原産の染料を使っていて、日本の留袖と同じ技法で染められていると井藤さんから伺って。そんなもの作りの背景も、興味深く思いました」。
(OVAL BOX/SPOOL BOX #5変形 カエデ)
ミシン用の糸巻き(スプール)とボビンを一緒に整理して収納できる、スプールボックス。上部にラックがついていて、その中にはアンティークのレース編み用の糸巻きや針入れ、ラッピングに使われていた真田紐、神戸の手芸雑貨店「Rollo(ロロ)」で見つけたという手芸パーツなどが収められています。
(OVAL BOX #6 深型 三度黒×サクラ)
松本を訪れたとき『the BOX SHOP』で購入したという、ツートンの限定ボックス。「イタリアや日本製のテープやレース、リボンなど、気になるパーツをざっくりと入れています。背が高いものも入れているので、普段はフタを底に重ね、オープンラックのような感じで使っています」
(プロフィール)
神戸を拠点に、かぶり心地や素材感にこだわった帽子ブランド「mature ha.(マチュアーハ)」を提案している。雅之さんの好きな言葉は「一つ一つ積み重ねる」。ユキさんの好きな言葉は「Stay Hungry,Stay Foolish」。アップルの創業者、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で語った一節。
文・田中のり子
写真・大森忠明
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